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連載小説:夜に逢いましょう 2

小説の続きになります。
とりあえず、勢いでどこまで出来るかが問題・・・・・・。




「空君かー。よろしくね」
いきなり下の名前で呼ばれる。
夜霧さんと言ったか、彼女は随分とフレンドリーな性格らしい。
よろしくと言われても、もう会う事もなさそうだけど。
「はぁ、よろしく・・・・・・。えっと、夜霧さんはこんな時間に一人で何を・・・・・・?」
「んー、特にこれと言っては。まぁ、一番の理由は夜だから? 夜に歩くの好きなんだー」
女性一人でこんな時間に出歩いて大丈夫なのだろうか?
「あー、それと! 私も下の名前で呼んだんだから、空君も凛でいいよ」
「えぇ? それはなんか・・・・・・」
「気にしない気にしない。こうやって出会えたのも何かの縁! 仲良く行こうよ!」
よく分からない理由だ。でもこの明るい性格のおかげで、僕も少しなれてきた。
だったらまぁ、そう呼べって言うならそうさせてもらおう。
「んじゃあ、凛さんで」
「うむ。それでよし。で、空君はなんでこんな時間に?」
「月が綺麗だったから、かな?」
「ぷっ、なにそれー。空君ってロマンチスト?」
「違う違う。外明るいなと思ったら、月綺麗でさ。目も覚めちゃったし、ちょっと気分転換に」
「ふーん。確かに今日はいつもより明るいねー」
いつもより?
いつも外に出てるってことだろうか?
少し気になりはしたものの、別に聞くことでもないだろう。
「と、そろそろ家戻るかな」
まだ4時前ではあるが、東の空が薄っすらと白み始めている。
「そっかー。そろそろ私も時間かな」
「あ、そうそう。夜なら大体居るから。また来てよ」
「夜出歩くのは危ないぞ?」
「んー? 私なら大丈夫だよ」
その自信は一体どこから来るのか。
「第一、僕がまた来るとは限らないよ」
「ま。来られる時でいいしさ。またいつかの夜にでも逢おう」
そう言って彼女は僕が帰る道とは反対の方へ歩いて行ってしまう。
送るべきだったか? いや、そこまでは信用されてないだろうな。

その後、僕も家に帰ってその日は寝た。

次の日の昼間、僕は暑い中歩いて朝方彼女と会った場所へ来ていた。
学校は休みだし、今はバイトもしていないので結構暇なのだ。
勿論彼女に会いに来たわけではないし、居るとも思っていない。
明るい内に、この場所を見ておこうと思った。
あの時思ったのだが、この辺りは特に目立ったものは何も無い。
昼間の今確かめてみても、多少車の通りは多いがそれだけだった。
広くも狭くもない、普通の道路。
彼女はここで何をしていたんだろう?
「また会おうとか言ってたけど、ここでって事だよな」
本当に何も無いただの道。
キョロキョロと見回していると、道の端っこに何かが置いてある。
手にとって見る。
「瓶?」
よくあるカップ酒の空き瓶だった。
まぁ、酔っ払いとか誰かが捨てたゴミだろう。
別に珍しいものでもない。
「まぁ、いいか・・・・・・」
瓶を元の場所に置いて家に帰る。
まぁ、夜に目が覚めてそんな気分だったら、またふらっと外に出てみるか。
そんな事を考えて家に帰る。

by shio120 | 2010-07-27 15:26 | 小説 | Comments(0)  

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