連載小説:夜に逢いましょう

いきなりですが小説を書いてみます。
もともと小説も書くって言ってましたしね。
途中までですがよければ見てやってください。





私はこの町からは出られない。
鳥篭に入れられた鳥のように、鎖で繋がれた犬のように、ケージに入れられたハムスターのように。
別に不便だなんて思わない。
最初は見慣れない町に新鮮な気分だったが、長い間「ここ」にいるから、そういう事も無くなった。
新鮮な気分ではなくなったが、気づいたことはある。
それは、一日は常に変化しているものだと言うこと。
同じ日なんて二度とない尊いもの。
長い間「ここ」にいるからこそ、気づけたことでもある。
私はこの町からは出られない。
毎日決まったところを歩き回る。
だけど飽きたなんて事は無い。
誰も私を見ないけれど、別に私は寂しくなんか無い。一人でいい。私はそういう「人」だから。
私を見なくても、この町の人達は優しいという事を私は知っている。
田舎の小さい町で、人も少ないけれど。
私は、この町が好き・・・・・・。





「うぅ・・・・・・。喉渇いた・・・・・・」
夏真っ盛りな熱帯夜。
最近は夜も蒸暑くてぐっすり眠れない。
クーラーなんてもの、この部屋には無い。窓は開けるが風は無し。
あるのは外よりも蒸し暑いかもしれない、空気だけ。
そんな訳で、ここ数日は夜中に喉が渇いて目が覚める。
時計を見れば、午前2時半。いつも大体決まった時間だ。
「んぐ、んぐ・・・・・・。ふぅ」
僕は流し台で水を飲む。
水道水だって喉が渇いてりゃ、どっかの天然水に変わりないくらい美味い。
コップを流しに適当に置いて、再び眠りにつこうと思った。
「ん?」
思ったのだが・・・・・・。
電気は点けていない。だけど部屋は、辺りを見渡せる程度に明るい。
窓から外を見る。
「月か・・・・・・。綺麗だな」
満月ではないと思うが、夜空には大きな月が輝いている。
「夜空をじっくり見上げたのなんていつぶりだろう」
小学生の夏休みに、月の観察をしたのを思い出す。
「・・・・・・」
いかんいかん。しんみりするなんて僕らしくないな。
「少しだけ外に出てみるか」
目も冴えてしまったし、気分転換にもなるだろう。
靴を履いて外へ出る。
小さな照明を点けているかのように、ほんのりと明るい。
街頭の光を頼りにする必要はなさそうだ。
「こんなに明るい夜ってのもあるんだなぁ・・・・・・」
そう素直に感心する。
この町で育って、いつの間にか大学生だが新しい発見というものはドキドキする。
最近は毎日が変わらないような気がして、新鮮味が全く無くてつまらなかった。
夜の町を一人ふらふら歩く。
気がつけば家から少し離れた、この町で一番交通量のあるバイパスへ繋がる道までやってきていた。
この辺りは夜でもトラックなどがよく通っている。
この町に来る車は少なく、隣の市に向かう車たちなのだろう。
少し離れた道から、時たま通り過ぎるトラックを眺めていると。
「やあ、こんにちは」
そういきなり声を掛けられる。
「っ!」
「へぇ?」
いきなり話し掛けられ驚いて声の主を見やると、一人の女性の姿。
長く肩辺りまで伸ばした髪。服の種類は分からないが、夏らしく涼しそうな白色の服を着ている。
向こうから話し掛けておいて、何やら驚いている様子だ。
「いや、今はこんばんは、と言うべきかな?」
「しかし、今は午前3時くらいだ。だったらおはようが正しいのかな? どう思う?」
驚いた表情を見せたのも一瞬。
すぐにペラペラと喋りだす。
僕は知らない人に話し掛けられて、フレンドリーに対応できる性格ではない。
「えっと、その・・・・・・?」
などと言っていると。
「私は夜霧凛。よろしく」
「えっ、朝野空・・・・・・」
僕は、いきなり名乗られてそれに返すことしか出来なかった。
[PR]

by shio120 | 2010-07-25 17:18 | 小説 | Comments(0)  

<< フリーノベル感想第33回 フリーノベル感想第32回 >>