お久しぶりです。紫苑です。
またもや更新が半年ほど空いた訳ですが……。PCの不調で修理に出していたり、観たい生放送の企画等があったりでなかなか触るタイミングがありませんでした。
それでもちょいちょい進めては居たのです。延び延びになってしまいましたが。
後はこっちに活かせはしないかなぁとは思うのですが、興味の出たジャンルがまた一つできました。
広げ過ぎても追いきれないのでほどほどにしておきますがw
さて、長く話していても仕方ないので感想の方へ行きましょう。
今回は物凄く久しぶりの番外編。(実は9年前に「Kinoko1」の感想を書いて以来だったりしますw)
番外編は過去に私がプレイした事がある作品を取り上げる枠ですね。このブログを始める前にもノベルはプレイしてたので取り上げていない作品は結構あるのです。
とは言え全ては取り上げられないのですが、ふと思い立ったらこんな感じで感想書こうかなと。
今回の作品は「
べろシティ」さんの「Plumage Cafe」です。作品ページ、ダウンロードがリンク切れてるように見えますが一応できます。
プレイ時間は1話40~50分ほど。3話で2時間ちょっとでしょうか。
ストーリーは作者さんHP作品紹介ページからお借りして。
寂れた観光地にひっそりとそびえる喫茶店『Plumage Cafe』。その古びた木扉を潜れば、時代遅れのメイド姿のウェイトレスさんが優しい笑顔で出迎えてくれる。
ある真夏の一日。そこに入店する者達は、皆、妙な問題を抱えていて。
帰国子女の幼馴染、メガネ娘のバンドマン、ゲーム好きの幼女、etc...
人々がその内に秘めている刺々しさを、まるでコーヒーに溶けゆくミルクのように消してしまう不思議な喫茶店。そこで繰り広げられる破天荒な一日を綴ったハードキュア・ハートウォーミングな物語。ギャグ成分もそこそこ。
「おかえりなさいませ、べろシティさま」
とこのような感じ。
フリーでダウンロード・プレイ出来るのは3話あり、各話それぞれのキャラクターが同じ喫茶店を舞台に話が展開していく、といった感じの作品です。
なので各話ずつ感想を書いていきたいと思います。
第一話 たよりないショコラ
ひょんなことから久しぶりに再会した久坂奈々斗と森野みのりは喫茶店で、子供時代にあった出来事について話し始めます。
奈々斗は殆ど忘れていて、何度も思い出す事を繰り返します。
みのりは忘れられていた事にショックを受けるのですが、ヒントを出したりと悲しいだけが前面には出ていない描写が私は好きでした。(それでもショックはかなり受けてはいるのですが)
奈々斗も奈々斗で誠実に対応はしていくので嫌なキャラをしていないのがいいですね。この時点で二人には空白の時間はあったものの、信頼感みたいなものが感じられた気もします。
とは言え奈々斗は現在の自分とみのりの境遇に差を感じていたりはするのですが。
中盤辺りである思い出すシーン、これはちょっと見るのが辛かったです。
ただ流石に団地に対する偏見強くないかなぁ……w 私は違うので実際はそんなもんと言われたらあれですけど。
そこで奈々斗がとった行動がカッコいい。以前は相手側ではあったとはいえ。
ちょっと理由というか話がその瞬間だけ急かなぁという印象も受けましたが、納得は出来ますからね。
別に気になった部分は子供にしては語りが大人っぽいかなぁと。もう少し砕いた話し方でもよかったかも?
この時代の境遇というか差が現在の二人とは逆転しているような印象を受けましたね。勿論直接的な意味じゃないですよ。
思い出した後、少し食い違いみたいな話があるのですが、これはまたあるあるな感じがしていいですねえw
そしてそこがラストと見事に一致していて、そうきたかー!とw
ちょっとその後が気になる二人です。
同梱メモには「思い出す」「忘れる」がくどいほどに繰り返されるみたいな事が書かれてますが、確かに作中少しずつ何度も繰り返されるのです。でも実際そんなもんですよね。
そのリアリティが良かったです。
第二話 ごうおんメロンソーダ
主人公の大塚矢伊里とバンドメンバーの相葉浩人、日下部乃音がバンドに対する想いを喫茶店で語る第二話。
矢伊里と浩人・乃音では考え方が違っていて揉めてしまう。
バンドとかでよく聞く方向性の違い、みたいなものを描いたのが今作。と言えば説明は簡単ですかね?
大体は高校生の部活バンドは楽しむ為にやっていて本気でプロを目指そうという想いでやってる人は少ないと思います。勿論中には居るでしょうけどそれでも少数だとは思うのです。
ただ、矢伊里は違っていて本気で取り組みたいタイプ。
性格の部分もあるでしょうが、物凄くストイックなのが伝わってきます。
故に他の二人とぶつかってしまう。作中のシーンの緊張感ったら半端ないです。私そんな中に居られませんw
前半は大体の人が矢伊里に対してちょっと嫌なキャラクターだなぁと感じるのではと思いました。
ストイックさと先にも言った性格的な意味で。
勿論彼女の言う事も分かるのです。寧ろ本気で取り組むのであれば正論ですらあります。
ただ言い方であったり、一直線なところが見えるせいか堅物な印象も受けますね。
特に乃音とは正反対的な位置にあるので、彼女に対しての言葉はきついものになりがちなのも……。
ここで癒しなのが浩人ですw
飄々とした態度をとりつつも、的確に言葉を選んで説得するので上手くバランスが取れているように思いました。
どちらかと言えば浩人も乃音側ではあるのですが。
浩人の活躍もあって? 話は治まる形になるのですが、この辺りで矢伊里の嫌な感じが無くなってくるのも見どころ。
最後の矢伊里と乃音が会話するシーンは、そっち方向へ話を持っていくのかとw
ある意味で新たな火種になりかねないのでは?w とも思いましたが、矢伊里は少し引いたところから見てるから大丈夫、かな?
中盤辺りの緊張感が張り詰めた空気は居心地が悪くなる雰囲気ではありますが、これも一つの青春を描いた作品で良かったです。
第三話 かめのむミルクセーキ
個人的に一番好きな話。
主人公田牧祐志と倉梨ゆめの二人が兄妹として仲良くなる? 為のキッカケのお話。
苗字が違うので分かるように、両親の再婚によって義理の兄妹になるかもしれない相手同士。
距離を縮められるよう外に出て喫茶店にといった感じ。
兎に角ゆめが可愛い。立ち絵見て貰えば分かるでしょうがw
ただかなり大人しいゆめ。そんなゆめに祐志は接し方に困ってしまうのですが、そのもやもや感と言いますか絶妙に空いた距離がもどかしかったですね。
勿論そんなの二人の境遇を考えれば当たり前な訳ですが……。
ゆめちゃんも不器用ながらも、とある方法で祐志との距離を縮めようとするシーンがあるのですが、それがまた可愛い。
そしてゲーマーであることも分かるのですが、ギャグシーンとは言えチョイスがこの子の年齢にしちゃマニアック過ぎませんかw
その際の祐志の嘘のシーンは無くても良かったのでは、とも思いました。別で掛かってくる訳でも無いしすぐ嘘である事を言ってしまうし、ただ悲しませただけなような……。しょんぼり顔のゆめちゃんは可愛いですが(
そんな彼女のペットはミドリガメのるーら。某RPGの呪文ですねw(喫茶店に亀は……。って思いはしますがまぁ、物語ですからねw)
ただその名前にも意味はあってちょっとしんみり。後半物語にも掛かってきます。
そのるーらがキーになり物語は大きく動きます。(ここで喫茶店のマスターが出てきたり。とても美人)
ゆめちゃんの想いがここで分かるのですが、それがなかなか来るものが……。それが祐志を動かす原動力にも。
一般的にこの手の話だと家族の絆が~的な展開になると思うのですが(それはそれで好きですが)、そうではなく等身大のままの二人として、純粋にただそれだけの理由なのが感動しました。
後日談を見れば二人の関係の進展も感じられますよ。もう兄妹と言ってもおかしくないですね。
最後のゆめちゃんの笑顔は是非見て欲しいなぁ。
と、こんな感じで3話分の感想を書きましたが纏めると。
この作品を取り上げた理由の一つは、ほぼ感想を見かけないのですよ。
作者さんのHPからしかダウンロードできないのも理由の一つでしょうか。こういうタイプの作品もっと取り上げたいですね。
そして作品全体の雰囲気、空気感が私の大好物な作品なのです。そんな訳で思い出して久々にプレイしたのですが、やはりいい。
オムニバス物好きなので舞台は同一というのが何ともいいですねえ。
この喫茶店の雰囲気も作中から感じ取れるのもいいポイント。こういうとこに通いたい。
ビジュアル面も実写背景にキャラクターを上手くはめ込んでいて、特に違和感なく見られます。
CG的な表現で表示されるので動きも感じられますね。
気になるのは動作が少し不安定なんですよね。独自のエンジン使われてますかね? 他では見ないUI回りでした。
後昔の作品でよく見るパターンなんですが、初回起動時はもしかしたらセキュリティ関係でメッセージ出るかもしれません。
多分最近のPCでは動作の保証がないために出るものだと思うのですが。起動しても特に異常は起こってません。ただ一応自己責任という事で。
実は4話5話(+まとめの話があるらしい)があるのですが、そちらは06年の夏コミで購入限定っぽいのです。DL販売等もしていないようなのでプレイ出来ず残念……。
売っていれば購入するんだけどなぁ。
纏めの話はマスターさんの話みたいだし、舞台の起源的な話は大好物なのに……。
とは言え、プレイ出来る3話でも十分楽しいですし、1話ずつダウンロードする作品なので気になったところからプレイするのもアリです。
そして最後になりますが、エンディング曲すっごくオシャレなのです。深夜のラジオで流れていそうなしっとり感。喫茶店っぽくてたまりません。
是非プレイして聴いてみてください。